一越(ひとこし)ちりめん |
左右の強撚糸を一本ずつ交互に織り込んだもので、小さなシボが特徴的なものです。薄手のわりに、しっかりとした地風で、留袖・訪問着・付け下げ・小紋・羽織等、幅広く使用されています。
染料の染め付きが良く、素材の個性が染め具合に影響することもないので、友禅染などにも、しなやかな風合いを添える役目をしますが、縮みやすいのが難点です。
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古代ちりめん |
シボが大きく、独特の風合いがあるちりめんで、「鬼しぼちりめん」とも呼ばれています。
この生地は、小紋に染めることが多く、更紗や紅型のキモノにもよく用いられています。一越ちりめんに比べて重量感があり、ざっくりとした風合いがあるので、趣味的な染め帯にも好まれているようです。
流行のない基本的な白生地なので、あきのこない柄を染めるのがいいでしょう。
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紋意匠ちりめん |
よこいと緯糸にかんね甘撚り糸と強撚糸を使い、緯二重の織り方で、生地模様にさまざまな変化と深みを出した立体感のある高級ちりめんです。
地紋が鮮明にでることから、色無地・色留袖には最適で、その他の訪問着・付け下げ・小紋・羽織・コート等にも使用できます。
素材そのものが華やかな光沢を持っているので、染め上がりも高級感が楽しめます。
地紋の種類によっては、キモノの種類にも影響しますので、注意しましょう。
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絞りんず |
りんずは撚りのない絹糸をたていと経糸に使い、その経糸を浮かせて織るので、なめらかで光沢のあるしゅす朱子地に織り上がります。このりんず地に、地紋を織り出したものを紋りんずちりめんと呼び、光沢のある部分と地紋のある部分との陰影が華やかに見えるので、花嫁衣裳や振袖・訪問着・付け下げなどに好まれています。光沢があるので、黒留袖や喪服には用いません。
重めのものは着尺地、軽めのものは長襦袢地と、使い分けられています。
個性の強い白生地なので、染める柄と地紋の柄の調和を考えた上で選びましょう。
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羽二重(はぶたえ) |
ごく細い上質の糸で、織り上げたもので、シボのない平らな生地です。平織りなので縮みもなく、ち緻密でしっかりとした生地です。
厚手のものは喪服や男性用の礼装に、薄手のものは裏地などに用います。
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変わり無地 |
変わり撚糸を使うことで、一越ちりめんの縮みやすさを解消したもので、風合いやシボの大きさも一越によく似ていることから、白生地の代表的なものになりつつあります。
用途は、一越と同様でほとんどのキモノに使えます。
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パレスちりめん |
細い糸を密に織ったシボの小さい生地で、薄手に仕上げたちりめんです。この生地は、着尺とするより、薄くてすべりが良いので袖廻しや襦袢地として多く用いられています。
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駒綸子ちりめん |
経糸に駒糸という撚糸を使用した、深みのある生地です。シャリッとした風合いとしなやかな光沢を持ち、色無地・訪問着・付け下げ・色留袖・羽織と、広範囲に用いられています。比較的シワになりにくいので扱いやすい生地といえるでしょう。
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朱子ちりめん(どんす緞子ちりめん) |
経朱子と緯朱子で文様を織りなしたもので、きらびやかな光沢を持ち、大変豪華な印象のある生地です。振袖や訪問着、付け下げなどに用い、若い人向きといえるでしょう。
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縫い取りちりめん |
ちりめん地に、金糸・銀糸・うるし糸・ラメ糸などの装飾糸を使って、生地模様を織り上げた高級ちりめんです。
無地染めにしても縫い取り文様がそのまま残るので、豪華な美しさを出したい時に用います。訪問着・色留袖・振袖・打掛け・羽織などに使われています。
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銀無地 |
新しい織物組織のちりめんで、完全な二重織りではなく、地紋の朱子上げを梨地風にしたものです。
重厚感があり、銀色に見える光沢があるので上品な高級感があり、染料の染め付きも良く、染め上がりの発色も美しいのですが、シワや折れが出やすいのが難点です。
付け下げ・訪問着・色留袖・小紋などに用います。
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無地意匠(駒無地) |
最良質な糸を使い、高度な製織技術を駆使して織り出されたもので、友禅染の最高級素材といわれています。
主に色留袖・訪問着・絵羽織・コートなどに用いますが、スレ、折れが目立ちやすく、染色する時には特に注意が必要とされる繊細な生地といえるでしょう。
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塩瀬 |
特に太い緯糸をしっかりと打ち込んだ生地で、こはく琥珀とも呼ばれています。特徴は緯糸が太いうねりになっているところです。
この生地は主に帯やふくさ、鏡台掛けなどに用いられています。
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精華 |
薄手の羽二重で、パレスちりめんとよく似た感触の生地です。長襦袢や八掛によく用いられます。
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※白生地に織り出された地紋は、目的に応じて選びます。慶弔両用の色無地に染める時には特に注意が必要です。
布幅に並んでいる柄の数で、大柄か細かい柄かを見わけますが、一般的に若い人には大柄のものを選び、年齢を重ねるごとに、細かい柄のものを用います。 |